はじめに
来年、小学校のご入学おめでとうございます!
そして、共働きでの育児、本当にお疲れ様です。
小学校入学は喜ばしいことですが、同時に「小1の壁」という大きな課題が立ちはだかります。
保育園時代がいかに「働く親」に最適化されていたかを痛感し、「このまま仕事を続けられるだろうか?」と不安に感じている方も多いでしょう。
特に、小学校は下校時間が早く、長期休暇があり、親のフォローも激増します。
この壁を乗り越えられず、実際に50%以上の保護者が働き方の見直しを検討し、キャリアの中断を余儀なくされるケースも少なくありません。
しかし、安心してください。
適切な「事前の情報収集」と「夫婦の連携」があれば、壁は必ず乗り越えられます。
本記事では、具体的な解決策と最新制度を徹底解説します。
ぜひ、新しい生活を安心して迎えるための具体的な一歩を踏み出しましょう。
「小1の壁」の正体:なぜ両立が困難になるのか
保育園との大きなギャップ:時間の壁
下校時間の早さと「夕方のすきま時間」の発生
「小1の壁」の最大の要因は、保育園と小学校での預かり時間の差、特に下校時間の早さにあります。
保育園が朝早くから延長保育で夜まで開いていたのに対し、小学校の授業は通常14時半から15時頃には終了します。
さらに、入学直後の4月などは給食なしで午前中(11時半頃)に帰宅することもあり、親の調整負担が激増します。
学童保育を利用したとしても、公設学童の閉所時間は18時~19時頃のところが多く、フルタイム勤務の親が定時で退社しても、子どもが学童終了後から親の帰宅までの間、一人で過ごす「夕方のすきま時間」が生じやすくなります。
特に朝も登校時間が保育園の開園時間より遅いため、親の出勤時間との間に子どもが一人で過ごす時間が生じる「朝の小1の壁」も問題視されています。
この時間のギャップこそが、共働き世帯の両立を困難にしている主要因です。
学童保育の限界と「待機児童」問題
放課後の子どもの居場所として重要な役割を担う学童保育(放課後児童クラブ)ですが、いくつかの限界があります。
まず、公設学童は保育園の延長保育(〜19時・20時)と比べて終了時間が早い場所が多いという「時間の壁」があります。
さらに深刻なのが「待機の壁」です。
学童保育の登録希望児童数は右肩上がりで増加しており、2024年5月時点で約156万人が利用登録していますが、希望しても入所できない待機児童は全国で1.77万人にのぼります。
特に都市部では深刻な問題となっており、学童に入れない「学童待機児童」の存在により、フルタイム継続を断念せざるを得ない家庭も報告されています。
また、多くの公設学童が小学校3年生までを対象としているため、4年生になると再び預け先を失う「小4の壁」も存在し、継続的な居場所の確保が課題となっています。
保護者の負担が激増する要因
長期休暇(夏休み等)の発生とお弁当問題
小学校に入ると、保育園時代にはなかった長期休暇が年間で約2ヶ月分発生します。
具体的には、夏休み(約40日)、冬休み(約15日)、春休み(10日以上)があり、合計で約65日にも及びます。
学童保育はこれらの長期休暇中も朝から開所しますが、大きな負担となるのが「お弁当問題」です。
保育園では給食(または園で用意した食事)が提供されていましたが、学童では毎日お弁当を持参しなければならないケースが多く、親の負担が激増します。
特に複数のお子さんがいる世帯では、毎日のお弁当作りと、下のお子さんの保育園の準備が重なり、朝のタスクが複雑化し、親の時間的・精神的負担が非常に大きくなります。この長期休暇への対応は、仕事を休むか、外部サービスを活用するか、戦略的な準備が不可欠です。
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平日日中の学校行事・PTA活動と親のタスク増
小学校では、子ども自身へのサポートだけでなく、親が対応すべきタスクも大幅に増加します。
まず、学校行事やPTA活動の増加です。
授業参観、個人面談、保護者会などが保育園時代よりも多く、かつ平日の日中(例:13時半~)に開催されることが増えるため、親は仕事を調整したり、時間単位の休暇を取得したりする必要があります。
さらに、家庭内でも毎日確認すべきタスクが発生します。
具体的には、宿題のフォロー(音読のチェック、プリントの丸付け)、翌日の時間割に合わせた持ち物(体操着や上履きなど)の準備・管理が毎日必要となり、親の負担は時間的にも精神的にも大きくなります。
これらのタスクは子どもの自立を促すことが重要ですが、特に小学校生活に慣れない最初の時期は、親の細やかなフォローが欠かせません。
【最重要】放課後の預け先を徹底攻略する
公設学童・民間学童のメリットと選び方
公設学童:申し込み時期と注意点
公設学童(放課後児童クラブ)は、自治体が運営または委託運営しており、比較的低料金(例:月額1~2万円程度、地方の公設は1~2万円程度)で利用しやすいのが大きな特徴です。
しかし、利用には「保護者がフルタイム勤務であること」などの条件がある場合が多く、申請時には就労証明書など手間のかかる書類の提出が必要です。
そして最も重要なのが申込時期です。
自治体や学童によりますが、公設学童の申込時期は入学前年の秋〜冬(9月〜12月頃)であることが多いため、締切を絶対に確認し、早めに手続きを始める必要があります。
待機児童が発生しやすい地域では、公設学童だけに頼らず、複数の施設への申請や、民間学童を予備として検討するなど、複数の選択肢を確保する「予備計画」を持つことが教訓となっています。
民間学童:高額でも選ばれる理由と付加価値
民間学童保育は、NPOや企業、学習塾などが独自に設置・運営しており、公設学童に比べて費用は高額(月額4万~10万円以上)ですが、共働き世帯が抱える課題を解決する手厚いサポートが魅力で、戦略的な選択肢として活用されています。
民間学童が選ばれる最大の理由は、預かり時間が長いことです。
多くが19時~22時までの延長保育に対応しており、フルタイム勤務で残業が発生しやすい親にとっては、公設学童の限界を補ってくれます。
また、学校や自宅への送迎サービス、習い事(英語、プログラミング等)、宿題サポート といった付加価値の高いサービスを提供している点も魅力です。
利用者の体験談では、月7万円を支払っても送迎と学習サポートが付くことで、子どもを安心して預けられ、親の時間の余裕が生まれた成功例も報告されています。
地域サービスと外部リソースの活用
ファミリー・サポート・センター(ファミサポ)の事前登録
学童保育だけではカバーできない時間帯や、子どもの急な体調不良や学校行事への対応に備えて、地域資源の活用は不可欠です。
その代表的なものがファミリー・サポート・センター(ファミサポ)です。
ファミサポは、地域の相互援助活動であり、自治体が窓口となって、援助を受けたい会員(依頼会員)と提供したい会員(提供会員)をマッチングしてくれます。
サービス内容としては、学童のお迎えから自宅での預かり、習い事への送迎、緊急時のケアなど、多岐にわたります。
費用は比較的安価(例:500~800円/時間)で利用できるため、コストを抑えつつピンポイントでサポートを得たい共働き世帯に非常に有効です。
ただし、事前に会員登録が必要であるため、入学前年のうちに手続きを済ませ、緊急時にすぐに依頼できる体制を整えておくことが強く推奨されます。
ベビーシッター・習い事を「居場所」として戦略的に使う
学童保育やファミサポの他にも、外部委託(アウトソース)できるサービスを戦略的に活用することが、「小1の壁」を乗り越える鍵となります。
例えば、ベビーシッターサービスは費用はかかりますが、学童のお迎えだけを依頼するなど、特定のニーズに合わせて柔軟に時間指定ができるメリットがあります。
週1回だけでも家事代行サービスを導入すれば、夕食作りや掃除の負担が軽減され、親の心の余裕が全く違ってきます。
また、習い事も単なる技能習得の場としてだけでなく、「放課後の居場所確保」として戦略的に活用できます。
特に、送迎サービスが付いている習い事や、自宅近くで時間延長が可能な施設を選ぶことで、学童が始まるまでの時間や学童終了後の隙間時間を埋めることができます。
行政によるベビーシッター費用の補助制度(ベビーシッター派遣事業)も拡充されているため、積極的に情報を集め、活用を検討しましょう。
働き方と夫婦の役割分担:キャリアを維持する戦略
会社制度を活用した柔軟な働き方
時短勤務の継続交渉と「努力義務」
子どもが小学校に入学するタイミングで、育児・介護休業法に基づく時短勤務制度(3歳未満までが選択的措置)が「小学校入学前まで」を期限として終了する企業が多く、これが両立を困難にする大きな要因となります。
しかし、法律では、小学校就学前の子どもを持つ従業員に対しては、時短勤務の適用を企業が努力義務としています。
さらに、2025年10月からは、3歳以上小学校就学前の子どもを養育する従業員にも、時短勤務の適用が義務化されます。
制度が適用外となる場合でも、まずは上司や人事部に相談し、小学校低学年までは時短勤務の継続を交渉してみる価値は十分にあります。
時短を継続することで、毎日早く退社してお迎えや夕食準備を担当でき、家庭の負担が大きく軽減されます。
ただし、夫婦のどちらか一方だけが時短を取得すると、負担が偏って破綻しがちであるため、夫婦で協力し合う視点が不可欠です。
フレックスタイム・テレワークの最大限の活用
時短勤務の継続が難しい場合や、さらに柔軟な働き方を求める場合は、フレックスタイム制やテレワーク(在宅勤務)の活用が非常に有効です。
フレックスタイム制は、始業・終業時刻を自由に設定できる制度であり、コアタイム(例:11時〜15時)以外は自由に調整が可能です。
この制度を利用することで、「朝、子どもを学校へ送り出してからゆっくり出社する」「夕方早めに退社して学童に迎えに行き、残務は夜に家で対応する」といった柔軟な働き方が可能になります。
また、テレワーク(在宅勤務)は、通勤時間がゼロになるメリットが絶大であり、小学校入学後の育児と非常に相性が良いとされています。
例えば、在宅勤務中に「中抜け」して学校行事に対応したり、子どもの体調不良時に対応したりといったことが可能になり、多くの悩みを解決できる可能性があります。
夫婦での「チーム戦略」とタスクの見える化
チーム戦略(役割分担・中抜け)のパターン例
「小1の壁」は夫婦どちらか一人の努力で乗り越えるのではなく、夫婦で「チーム」を組む戦略的な役割分担が鍵となります。
まずは、家事・育児のタスクをすべて洗い出し、誰が何をやるのかを一覧表にして「見える化」することが重要です。
効果的な役割分担の例として、「パターンA:役割分担型」があります。
これは、妻が時短を活用してお迎えと夕食・宿題フォローを担当し、夫がフルタイムやフレックスを活用して朝の登校見守りや寝かしつけを担当する、という分担です。
また、「パターンB:中抜け型(フレックス)」では、夫婦ともにフレックスを活用し、夫が朝早く出社し16時に退社してお迎えを担当、妻が通常通り出社し18時に帰宅してバトンタッチする、といったリレー形式の対応も可能です。
複数のお子さんがいる世帯では、送迎先の分散に対応するためにも、このような役割分担の最適化が不可欠です。
完璧を目指さない「やらない家事」とアウトソース
「小1の壁」の時期は、親の時間的・精神的負担がピークに達します。
この時期に、家庭の完璧さを追求することは推奨されません。
共働き世帯が壁を乗り越えるためには、「やらない家事」を決めることが重要な戦略となります。
家事にかかる労力を削減するため、家電やサービスへのアウトソース(外部委託)を最大限に活用しましょう。
具体的には、食洗機、乾燥機付き洗濯機、ロボット掃除機、自動調理鍋(ホットクック等)といった高機能家電への投資は、日々の負担軽減に絶大な効果を発揮します。
さらに、ネットスーパーやミールキット(Oisix, ヨシケイなど)の利用、週1回の家事代行の導入 なども、親の心の余裕を生み出すための有効な手段です。
経済的なシミュレーションを踏まえつつも、費用対効果の高い外部サービスを積極的に取り入れ、「80点主義で切り抜ける」という心構えが大切です。
入学前後に必要な「具体的な準備」と「心のケア」
事前の情報収集と経済的シミュレーション
先輩ママ・パパからのリアルな情報収集
入学後の生活を具体的にイメージし、不安を軽減するためには、先輩ママ・パパからのリアルな情報収集が最も効果的です。
同じ小学校に通わせている(または卒業した)共働きの先輩に、公設・民間の学童の様子、学校の雰囲気、PTA活動の実態、特に平日日中の行事の頻度などについて具体的に聞くことで、机上の計画ではなく、現場で本当に必要な対策が見えてきます。
また、近所の同級生の保護者と入学前から連絡先を交換し、緊急時や宿題・持ち物の確認などで助け合えるネットワークを築いておくことも、精神的な支えになります。
入学前年の4月〜8月頃には、職場の制度確認や学童保育の情報収集と並行して、保護者ネットワーク作りに注力し、地域のサポート体制を事前に把握しておくことが成功の秘訣です。
入学直後の「午前帰り期間」への有給確保
小学校に入学してすぐの4月は、特に注意が必要です。
入学式直後や、給食が始まるまでの期間は、授業が午前中(11時半頃)で終わり、子どもが早めに帰宅する日が続きます。
この「午前帰り期間」は学童保育を利用しても対応が難しくなる場合があります。
この期間を乗り切るためにも、夫婦どちらかが有給休暇を多めに確保しておくなど、事前の調整が必須です。
また、子どもが新しい環境に慣れず、登校しぶりや体調不良で休むリスクも高いため、「子の看護休暇」など、子どもが病気した際に使える会社の休暇制度を事前に就業規則で確認しておくことも重要です。
入学後の4月〜6月は、特に無理をせず「様子見期間」として設定し、仕事のスケジュールにも余裕を持つことが、初期のストレスを軽減します。
子どもの自立促進と精神面のサポート
宿題と朝支度の「自分でできる」習慣づけ
小1の壁により親の負担が増えるタスクの多くは、子どもの自立を促すことで軽減できます。
特に、毎日の宿題の確認や持ち物準備のフォローは負担が大きいため、入学前から「朝支度20分に短縮」を目指すなど、時間管理能力を養う訓練を開始することが有効です。
例えば、翌日の時間割確認や持ち物(洋服、かばん等)の準備を前夜のうちに子どもと一緒にルーティン化し、「できたこと」を褒めて自信につなげます。
また、低学年でも腕時計やタイマーを使わせて「時間を意識させる」ことで、親がつきっきりにならずとも、子ども自身が考えて行動できるような仕組みづくりが重要です。
このような自立促進は、親の負担を減らすだけでなく、子どもの責任感や段取り力を育むことにも繋がります。
小1の不安と「行き渋り」への寄り添い方
小学校入学は、新しい環境、新しい友達、勉強の開始など、子ども自身にとっても大きなストレスとなる時期です。
不安から情緒不安定になったり、「学校に行きたくない」(登校しぶり)と言い出したりすることもあります。
共働きで親の不在時間が長くなると、子どもは孤独感や不安を感じやすくなるため、精神面のケアが不可欠です。
親が忙しくても、毎日短時間でも話を聞く時間を確保し、子どもの不安や疲れに寄り添うことが大切です。
親が一方的に「頑張れ」と励ますのではなく、「不安だよね」「疲れたね」と子どもの気持ちに共感し、受け止める姿勢が重要です。
また、学童での集団生活は体力的・精神的な負担となることもあるため、早めの就寝を徹底するなど、家庭での生活リズムを整えることも、子どもが新しい生活に適応するための重要なサポートになります。
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最新制度と経済的シミュレーション
2025年度の法改正と公的支援
新設される育児時短就業給付金(2025年4月)
2025年度から開始される新たな公的支援制度は、共働き世帯がキャリアを維持するための強力な後押しとなります。
その一つが、育児時短就業給付金です(2025年4月開始予定)。
この制度は、2歳未満の子を養育し、時短勤務中の雇用保険被保険者を対象とし、時短中の賃金の約10%が給付されます。
これにより、時短勤務を取得した際の収入減少を国が一部補填することになり、特に時短勤務による経済的な不安を感じていた保護者にとって大きなメリットとなります。
また、育児・介護休業法では、2025年10月から、3歳以上小学校就学前の子どもを持つ従業員への時短勤務の適用が企業に義務化されることになっており、制度面での支援が強化される傾向にあります。
これらの制度は、小学校入学直前の第2子以降を持つ家庭にとって、特に重要な情報となります。
朝の居場所確保策と「朝の小1の壁」対応
小学校の登校時間が保育園の開園時間より遅く、親の出勤時間との間に子どもが一人になる時間帯が生じる「朝の小1の壁」は、共働き世帯が抱える深刻な課題の一つです。
この課題に対応するため、こども家庭庁は2025年度に「朝の居場所補助金」を新設する計画を進めています。
これは、早朝からの預かり支援を行う自治体に補助金を提供するもので、共働き・ひとり親家庭を支援することを目的としています。
すでに先進的な取り組みとして、東京都豊島区では全区立小学校で朝の見守り、東京都三鷹市では7時30分に校門を開放し、児童が安全に過ごせるようにする取り組みが始まっています。
お住まいの自治体が、こうした「朝の小1の壁」対策を実施していないか、事前に情報収集することが重要です。
これらの公的支援を活用することで、親が朝から安心して仕事に向かえる環境を整えることができます。
働き方別・可処分所得のシミュレーション
フルタイム継続 vs 時短勤務の収入比較
小学校入学を機に働き方を見直す際、最も気になるのが経済的な影響です。
時短勤務を取得すると収入が減少しますが、その減少幅を正確に把握することで、不安を計画に変えることができます。
例えば、年収800万円の3人家族がフルタイム勤務を継続した場合、手取り収入から民間学童費(月7万円)を差し引くと、可処分所得は約48万円となります。
これに対し、1日6時間の時短勤務に切り替え、公立学童(月0.5万円)を利用し、さらに育児時短給付金(月4.2万円)を受け取った場合、手取り収入は約42万円に減少しますが、可処分所得は約45.7万円となり、フルタイム継続時との実質差は約2.3万円(4.2%減)にとどまるというシミュレーションがあります。
この結果から、時短勤務を利用しても経済的な影響は限定的であり、時間的・精神的な余裕を購入する対価として考えることができます。
失敗事例から学ぶ「準備不足」と「認識ズレ」の教訓
「小1の壁」を乗り越える上での失敗事例から学ぶ教訓は、事前の準備と夫婦間の連携の重要性を浮き彫りにします。
よくある失敗例として、「学童の申込締切を逃し、仕事を辞めるか悩んだ」という準備不足の事例があります。
学童は人気が高く待機児童も多いため、複数の選択肢を確保し、締切管理を徹底することの重要性がわかります。
また、「自分だけが頑張っている」と感じる夫婦間の認識ズレも深刻な失敗事例です。
役割分担が不明確だったり、負担が一方に偏ったりすることで、夫婦関係の悪化や子どもの精神面への悪影響が生じる可能性があります。
この教訓から、入学前の早い段階で夫婦間の役割分担を明確にし、定期的に振り返り、仕事と家庭に対するお互いの「こだわり」や「耐性」を共有し合うことが、成功への絶対条件となります。
まとめ
「小1の壁」は、共働き世帯が直面する時間、制度、そして親の役割の変化が複合的に絡み合った社会的な課題です。
この壁を崩すには、「事前の情報収集」と「計画的な準備」が不可欠です。
まず、具体的な課題は「時間の壁」です。
小学校の下校時間が早く、公設学童の終了時間も早いため、フルタイム勤務との両立が難しくなります。
対策として、放課後の預け先を多角的に確保することが最重要です。
公設学童の申込時期(入学前年の秋~冬)を逃さないよう今すぐ確認し、もし待機が発生した場合に備えて、預かり時間が長く送迎サービスや習い事を含む民間学童、そして比較的安価なファミリー・サポート・センター(ファミサポ) の事前登録を済ませておきましょう。
次に、働き方とキャリアの戦略です。
子どもが小学校に入ると時短勤務が終了する企業が多く、大きな負担となりますが、2025年10月には小学校就学前の子への時短適用が義務化されるなど、制度は進んでいます。
まずは職場で、時短勤務の継続交渉、またはフレックスタイムやテレワークといった柔軟な働き方 の活用を相談しましょう。
特にテレワークは、通勤時間を削減し、急な学校行事への対応を可能にするため、小1育児と非常に相性が良いとされています。
そして、家庭内では夫婦での「チーム戦略」を徹底します。
朝夕のタスク(送迎、宿題チェック、夕食準備)を明確に「見える化」し、特定の時間帯や役割を分担するパターン(役割分担型、中抜け型)を事前に決定することが、負担の偏りによる破綻を防ぎます。
さらに、家事代行や自動調理家電などを活用し、「やらない家事」を決めることで、親の心の余裕を確保します。
この壁が続くのは、子どもが学校に慣れ、親が生活リズムを掴むまでの約1年間、特に最初の半年間がピークです。
完璧を目指さず、利用できる公的・民間サービスをフル活用し、ご家族に合った最適な解決策を選択することが、この壁を乗り越える確実な道筋となります。