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【臼杵市】 UNESCO食文化都市 | 豊かな食文化と未来への展望

歴史と自然が豊かな大分県臼杵市は、400年以上続く発酵・醸造文化や、質素倹約の精神が息づく郷土料理、そして有機農業への取り組みが評価され、ユネスコ食文化創造都市として世界に認められました。

この認定は、臼杵市にとって単なる名誉ではなく、観光振興、地域経済の活性化、そして何よりも市民の誇りへと繋がる大きな一歩です。

この記事では、臼杵市がこの認定をどのように活かし、未来へと発展していくのか、その展望を多角的に掘り下げていきます。

目次

ユネスコ食文化創造都市とは?臼杵市認定の意義

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ユネスコ創造都市ネットワークの概要

 文化多様性と持続可能な都市開発への貢献

ユネスコ創造都市ネットワークは、文化の多様性を促進し、経済的、社会的、文化的な持続可能な都市開発に貢献することを目的として、2004年に設立されました。

文学、映画、音楽、クラフト&フォークアート、デザイン、メディア・アート、そして食文化という7つの創造的な分野で、独自の文化を持ち、それを活かした活動を行う都市を結びつけ、国際的な協力を促進するものです。

このネットワークへの加盟は、都市の文化的な強みを活かし、創造性を都市開発の戦略的な要素として認識し、都市間の協力を強化する機会となります。

7つの創造的な分野とネットワークの目的

ネットワークは、7つの異なる創造的な分野を通じて、加盟都市間の連携を促進します。

その目的は、知識や経験の交換、人材育成、共同でのプロジェクト実施などを通じて、文化産業の振興、社会的な包摂、文化遺産の保護、そして持続可能な都市開発を推進することです。

加盟都市は、それぞれの分野における成功事例や課題を共有し、互いに学び合いながら、グローバルな課題の解決に貢献していくことが期待されています。

臼杵市は、この中でも特に食文化において顕著な特色を持つ都市として、その一員に加わりました。

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食文化分野における加盟都市の役割

創造的な食文化産業の振興と国際協力

食文化分野における加盟都市は、自らの地域の創造的な食文化産業を振興するだけでなく、ネットワーク内の他の都市と連携し、国際的な協力を推進する役割を担います。

これには、知識や経験の交換、人材育成、共同でのプログラム実施などが含まれ、食文化を核とした地域活性化を目指します。

臼杵市は、他の創造都市との交流を通じて、食文化に関する技術交流や郷土料理の相互紹介、国際的な食のイベントへの参加などを積極的に行うことが期待されています。

文化多様性の保護と持続可能な発展への貢献

食文化は、地域固有の歴史や風土、人々の暮らしを反映する重要な要素であり、文化多様性の象徴でもあります。

食文化分野の加盟都市は、それぞれの地域で大切に守り育てられてきた多様な食文化を保護し、次世代へと継承していく責務を負っています。

また、有機農業や地産地消の推進など、持続可能な食のあり方を追求し、世界の持続可能な発展に貢献することも重要な役割です。

臼杵市のこれまでの取り組みは、まさにこの理念に合致するものです。

臼杵市が食文化創造都市に認定された背景

独自の食文化と持続可能なまちづくりへの評価

臼杵市がユネスコ食文化創造都市として認定された背景には、長年にわたり市民が大切に守り育ててきた独自の食文化と、それに基づいた持続可能なまちづくりへの取り組みが世界的に高く評価されたという理由があります。

具体的には、400年以上続く味噌、醤油、酒造りなどの発酵・醸造文化、江戸時代の質素倹約の精神から生まれた郷土料理、そして地産地消を主とした有機農業の推進などが挙げられます。

発酵・醸造文化、郷土料理、有機農業の推進

臼杵市の発酵・醸造文化は、良質な水に恵まれた地で長年にわたり発展し、地域に深く根付いています。

また、「きらすまめし」や「黄飯」といった郷土料理は、臼杵の人々の歴史や生活様式を伝える生きた文化遺産です。

さらに、市が運営する「臼杵市土づくりセンター」を中心とした有機農業の推進は、食の多様性と持続可能性を高める先進的な取り組みとして注目されました。

臼杵市の食文化 – 世界が認めた魅力

発酵・醸造文化:400年の伝統

可兒醤油、フンドーキン醤油、富士甚醤油の存在

臼杵市の発酵・醸造業は、1600年頃に始まったとされ、特に可兒醤油、フンドーキン醤油、富士甚醤油といった老舗の醸造元が、伝統を守りながらも高品質な醤油と味噌を生産し続けていることは、臼杵の食文化を語る上で欠かせない要素です。

これらの醸造元は、長年にわたり地域の食卓を支え、独自の風味と製法を受け継いできました。その技術と歴史は、臼杵市の食文化の根幹をなすものです。

地域に根付いた味噌、醤油、酒造り

臼杵市は、良質な水と温暖な気候に恵まれ、味噌、醤油、酒造りが地域に深く根付いてきました。

これらの発酵食品は、日々の食生活に欠かせないだけでなく、地域の味として親しまれています。

各醸造元は、伝統的な製法を守りながらも、時代に合わせて新しい商品開発にも取り組んでおり、臼杵の食文化の多様性を豊かにしています。

質素倹約の精神が息づく郷土料理

きらすまめし、黄飯に代表される知恵

臼杵市には、江戸時代の倹約令の下で生まれたとされる「きらすまめし」や、祝いの席で食べられた「黄飯(おうはん)」など、質素倹約の精神が息づく郷土料理が数多く残っています。

残り物の刺身やおからを混ぜた「きらすまめし」は、食材を無駄にしない知恵が詰まった一品です。

また、「黄飯」は、くちなしの実で黄色く染めたご飯で、質素な生活の中で贅沢な赤飯の代わりとして作られたと言われています。

地域の歴史や生活様式を伝える食文化遺産

これらの郷土料理は、単に食料としての役割を果たすだけでなく、臼杵の人々の歴史や生活様式を伝える、生きた文化遺産と言えるでしょう。

それぞれの料理には、当時の人々の知恵や工夫、そして地域独特の食文化が凝縮されています。

これらの食文化を次世代に継承していくことは、臼杵市の重要な責務の一つです。

持続可能な有機農業への取り組み

臼杵市土づくりセンターと「ほんまもん農産物」

臼杵市は、土づくりからこだわった有機農業を積極的に推進しており、全国的にも珍しい行政運営の堆肥製造施設「臼杵市土づくりセンター」を有しています。

ここで生産される完熟堆肥「うすき夢堆肥」を使った有機栽培は、「ほんまもん農産物」として認証され、市民の食の安全・安心を支えています。

この環境保全型農業への強い献身 は、臼杵市の食文化を持続可能なものとするための重要な取り組みとして、ユネスコからも高く評価されました。

環境保全と食の安全・安心への貢献

有機農業の推進は、環境への負荷を低減するだけでなく、安全で安心な食材を提供することにも繋がります。

臼杵市は、堆肥の生産から農産物の認証までを一貫して行うことで、持続可能な食のあり方を追求しています。

このような取り組みは、地域の農業の振興にも繋がり、地産地消を促進する上で重要な役割を果たしています。

「うすき美食道」が示す多様性

郷土料理、精進料理、ふぐなど8つの食文化

臼杵市では「うすき美食道」として郷土料理・精進料理・ふぐなど8つの食文化を提案しており、これらが総合的に評価されました。

この美食道は、臼杵市の豊かな食文化を多角的に示しており、それぞれの分野で独自の魅力を持っています。

これらの食文化を積極的に発信することで、地域ブランドの強化と観光客の誘致を目指しています。

持続可能な食の在り方とSDGsへの貢献

「うすき美食道」で提案されている食文化は、単に美味しいものを提供するだけでなく、持続可能な食の在り方を体現しており、現代のSDGsの考え方にも通じる先進的な側面を持っています。

例えば、有機農業に基づいた食材の活用や、食材を無駄にしない工夫が凝らされた郷土料理などは、持続可能な社会の実現に貢献するものです。

臼杵市 ユネスコ食文化都市認定による具体的なメリット

 国際的な認知度とブランド力の向上

世界への情報発信と観光客誘致

ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟は、臼杵市の国際的な認知度と発信力を向上させる大きなメリットをもたらします。

ユネスコの公式ウェブサイトや年次総会などを通じて、臼杵市の取り組みや魅力を世界に向けて積極的に発信・共有できるようになります。

国際的な認知度の向上は、食文化に関心のある観光客の誘致に繋がり、地域経済の活性化に貢献することが期待されます。

国内外からの注目と連携機会の増加

ユネスコ創造都市として認定されることで、国内外からの注目が集まり、他の創造都市との連携機会が増加します。

国際的な先進事例として国の資料等で活用される機会も増え、国内外の他のユネスコ創造都市との交流や情報交換がしやすくなります。

このような連携を通じて、知識や経験を共有し、人材育成や共同でのプログラム実施など、様々な分野での協力が可能になります。

観光客の増加と地域経済の活性化

「食の観光都市」としての地位確立

ユネスコの認定は、臼杵市が「食旅の目的地となる町」として、その地位を確立する上で大きな推進力となります。

臼杵市ならではのキー食材や料理を活かした「ユネスコ創造都市ガストロツアー」などを推進することで、「食の観光客」を積極的に呼び込むことが可能になります。

観光客の増加は、地元の飲食店、宿泊施設、土産物店などの利用を促進し、地域経済の活性化に大きく貢献することが期待されます。

食品関連産業への投資と新たなビジネスの創出

ユネスコ創造都市認定は、食品関連産業への投資や新たなビジネスの創出も促進すると期待されます。

例えば、地元の有機野菜を活かした飲食店や、伝統的な醸造技術を活かした新商品の開発などが考えられます。

また、食文化をテーマにした新しい観光体験プログラムの開発も進められており、地域経済への波及効果を高めることが目指されています。

国内外の創造都市との連携強化

知識・経験の交流と人材育成

ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟により、国内外の他の創造都市との交流や情報交換がしやすくなります。

山形県鶴岡市など、食文化分野の他の創造都市との交流・連携を通じて、料理人同士の技術交流や郷土料理の相互紹介、食文化に関する知識や取り組みの共有などが行われています。

これらの交流は、人材育成や事業効果の向上に繋がることが期待されます。

合同イベント開催や好事例の共有

加盟都市間では、合同イベントの開催や好事例の共有が可能になります。

例えば、「うすき食文化祭」では、国内外のユネスコ食文化創造都市の伝統料理などが提供され、市民が国際的な食文化に触れる機会が設けられています。

他の創造都市の成功事例を参考にすることで、臼杵市はより効果的な地域活性化策を検討し、実施することができます。

市民の誇りの醸成と地域への愛着

国際的な認定による市民の誇り向上

ユネスコという国際組織からの客観的な認定は、臼杵市民の誇りや郷土の良さの再確認に繋がります。

自分たちのまちの食文化が世界に認められたという事実は、市民の自信と誇りを高め、地域への愛着と一体感を育むでしょう。

このような市民の誇りは、地域活動への積極的な参加を促し、より活気のある地域社会の実現に繋がります。

食文化を通じた地域アイデンティティの強化

臼杵市の食文化は、長年にわたり地域で育まれ、受け継がれてきたものであり、市民のアイデンティティの重要な一部です。

ユネスコ創造都市としての認定は、この地域アイデンティティをさらに強化し、次世代へと継承していくための大きな契機となります。

市民一人ひとりが臼杵の食文化について理解を深め、主体的にその魅力を発信していくことが、持続可能な食文化都市としての発展に不可欠です。

臼杵市が描く未来 – 創造都市としての展望

 食文化を軸とした観光振興の推進

ユネスコ創造都市ガストロツアーの開発

臼杵市は、ユネスコ創造都市としての認定を活かし、食文化を軸とした観光振興を積極的に推進していくことが期待されます。

フグやブリなどの海鮮、地元の酒蔵4社による日本酒や焼酎、化学肥料を使わない「ほんまもん野菜」など、臼杵市ならではのキー食材や料理を活かした「ユネスコ創造都市ガストロツアー」の開発などが考えられます。

滞在型観光の促進と観光客満足度の向上

食文化を深く体験できるような滞在型観光を促進することで、観光客の満足度を高め、リピーターの増加を目指すことができます。

例えば、地元の食材を使った料理教室の開催や、醸造所や農園の見学ツアーの実施、郷土料理を味わえる宿泊プランの提供などが考えられます。

新たな食関連産業の創出と雇用促進

地元食材を活用した商品開発の支援

ユネスコ創造都市としての認定は、地元食材を活用した新たな商品開発を促進する好機となります。

臼杵市は、地元農家や食品加工業者と連携し、付加価値の高い新商品を開発するための支援策を検討することで、地域経済の活性化と雇用の創出に繋げることができます。

食に関わる人材育成と起業支援

食文化を核とした地域活性化のためには、食に関わる多様な人材の育成が不可欠です。

料理人、食品加工技術者、食に関するイベント企画者など、様々な分野で活躍できる人材を育成するための研修プログラムや、食関連の起業を支援する制度の整備などが重要となるでしょう。

若者の地元定着と地域活性化への貢献

食文化を魅力とした移住・定住促進

豊かな食文化は、特に食に関心のある若者にとって、臼杵市を魅力的な移住・定住先とする可能性を秘めています。

移住者向けの支援制度の充実や、地域に根ざした食関連の仕事の創出などを通じて、若者の地元定着を促進し、地域社会の活性化に繋げることが期待されます。

地域おこし協力隊との連携強化

地域おこし協力隊は、地域の活性化に貢献する重要な人材です。

食文化に関する専門知識やアイデアを持つ人材を積極的に誘致し、彼らの活動を支援することで、新たな地域活性化の動きを生み出すことが期待されます。

持続可能な食文化都市としての発展

有機農業のさらなる推進と地産地消の促進

臼杵市がこれまで取り組んできた有機農業をさらに推進し、地元の食材を地域で消費する地産地消の取り組みを強化していくことは、持続可能な食文化都市としての発展に不可欠です。

学校給食での地元産有機農産物の利用拡大なども、未来世代への食育という観点からも重要です。

食品ロス削減と循環型社会の実現への貢献

食文化創造都市として、食品ロスの削減や、資源を有効活用する循環型社会の実現に向けた取り組みも重要となります。

例えば、食品廃棄物の堆肥化や、未利用資源の活用など、環境に配慮した持続可能な食のあり方を追求していくことが求められます。

国内外のユネスコ食文化創造都市の成功事例

鶴岡市(日本):伝統と革新の人材育成

精進料理と在来作物の保護・活用

日本で最初に食文化分野でユネスコの認定を受けた鶴岡市は、出羽三山に伝わる精進料理や、地域に根ざした在来作物の保護・活用に力を入れています。

これらの伝統的な食文化を守りながら、現代に合わせた新しい価値を創造する取り組みは、臼杵市にとっても参考になるでしょう。

料理人育成と国際交流の推進

鶴岡市は、料理人の育成や食文化の魅力を伝えるガイドの養成など、人材育成に積極的に取り組んでいます。

また、イタリアの食科学大学との提携や海外への料理人派遣など、国際的な交流も盛んに行っており、臼杵市が国際的な連携を強化する上でのモデルとなります。

パルマ(イタリア):食と環境の持続可能性

チーズやハムなどの伝統食材と食料科学

「イタリアの食の谷」の中心都市として知られるパルマは、チーズやハムなどの伝統的な食材で世界的に有名です。

食料科学に関する教育プログラムや研究機関が充実しており、食と環境の持続可能性にも積極的に取り組んでいます。

都市と農村の連携強化と有機農業推進

パルマ市は、都市と農村の連携を強化し、地元の食文化を守るためのプロジェクトを推進しており、臼杵市が有機農業を推進している点と共通する部分が多いと言えるでしょう。

地域資源を活かし、持続可能な食のシステムを構築する取り組みは、臼杵市にとっても示唆に富むものです。

バタンバン(カンボジア):食文化と地域開発

米を中心とした豊かな食文化と夜市

米を主食とするカンボジアのバタンバンは、豊かな伝統料理と米を使った製品で知られています。

市内には活気ある夜市が開かれ、地元の生産者や小売業者、ホテルなどが連携して地域経済の活性化を図っています。

持続可能な食と文化交流による地域活性化

バタンバンは、リサイクルや堆肥化システムの導入など、持続可能な食のあり方にも力を入れており、食文化を地域開発の推進力とし、国内外の文化交流を促進する事例は、臼杵市にとって示唆に富むものです。

地域資源を最大限に活用し、多様な主体が連携することで、地域経済の活性化を図るアプローチは、臼杵市の今後の展開の参考となるでしょう。

デニア(スペイン):食関連雇用の創出

地中海料理と多様な地元食材

スペインのデニアは、地中海に面し、新鮮な魚介類や野菜など、多様な地元食材に恵まれた地域です。

伝統的な地中海料理は、健康的な食生活としても世界的に知られています。

ユネスコ認定後の食関連雇用と伝統食品生産者の増加

デニア市では、ユネスコ認定後に約2,500名の食関連雇用者が創出され、認定前の約2,000名から約25%の増加が報告されています。

また、伝統食品の生産者数も認定後30%増加しており、地域の伝統食品の生産基盤が強化されています。

これらの事例は、臼杵市が食文化を活かして雇用を創出し、地域経済を活性化させる可能性を示唆しています。

まとめ

大分県臼杵市がユネスコ食文化創造都市に認定されたことは、400年以上続く発酵・醸造文化、質素倹約の精神が息づく郷土料理、そして持続可能な有機農業への取り組みが世界に認められた証です。

この認定は、国際的な認知度とブランド力の向上、観光客の増加と地域経済の活性化、国内外の創造都市との連携強化、そして何よりも市民の誇りの醸成という多岐にわたるメリットを臼杵市にもたらします。

今後は、食文化を軸とした観光振興、新たな食関連産業の創出、若者の地元定着、そして持続可能な食文化都市としての発展が期待されます。

国内外の成功事例を参考にしながら、臼杵市が持つ豊かな食文化を次世代に継承し、世界に発信していくことで、真の「食文化創造都市」としての未来を築いていくことが重要です。

市民一人ひとりが臼杵の食文化を理解し、積極的に関わることで、この認定を新たなスタートラインとし、更なる発展を目指していくことができるでしょう。

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