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臼杵市の発酵文化と有機農業:400年の歴史と自然が育む食の宝庫

大分県臼杵市は、400年以上の歴史を持つ発酵・醸造文化と、自然の恵みを活かした有機農業が息づく、魅力的な「食文化創造都市」です。

醤油、味噌、酒といった伝統の味が今も大切に守り伝えられる一方で、土づくりからこだわった安全・安心な有機農産物の生産も盛んに行われています。

古の製法を受け継ぐ醸造元と、自然と真摯に向き合う有機農家。

この二つが織りなす臼杵ならではの食の世界へ、一緒に足を踏み入れてみませんか?

きっと、忘れかけていた食の豊かさと、それを支える人々の情熱に出会えるはずです。

さあ、臼杵の奥深い食の世界を旅してみましょう。

目次

臼杵市の発酵文化:400年の歴史と魅力

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江戸時代から続く発酵・醸造の隆盛

醤油・味噌づくりの始まりと発展

臼杵市の発酵・醸造産業の歴史は1600年に遡ります。

美濃国(現在の岐阜県)から臼杵藩主として移封された稲葉貞通に御用商人として同行した可兒孫右衛門が味噌の醸造を始めたのが起源とされています。

これが現在の「カニ醬油」の始まりであり、400年を超える歴史を持つ九州最古の味噌・醤油メーカーとして知られています。

臼杵は良質な水や大豆、小麦の生産に適した環境に恵まれており、この地の利を活かして醸造業が発展しました。

江戸時代から明治時代にかけて多くの醤油メーカーが創業し、西日本一の規模を誇った時期もありました。

現在、大分県は味噌生産量が全国7位、醤油生産量が全国6位にランクされており、その大半が臼杵市で生産されています。

臼杵を代表する老舗醸造企業

臼杵市には長い歴史を持つ味噌・醤油メーカーが現存しています。

1600年創業の「カニ醬油」は臼杵醸造業の元祖です。

杉桶を使った天然醸造にこだわり、深い味わいの醤油や味噌を製造しています。

文久元年(1861年)創業の「フンドーキン醬油」は、市内に商品開発研究所や複数の工場を構え、九州屈指の規模を誇ります。

特に麦味噌の生産量は日本一であり、世界一の大きさの醤油木樽を所有していることでも知られています。

明治16年(1883年)創業の「富士甚醬油」は、100年以上続く伝統技術を守りながらも新しい技術への挑戦を続ける老舗企業です。

二つの特許を取得するなど技術革新にも積極的で、「安心を、いただきます」をスローガンに多様な調味料を製造販売しています。

これら三社は臼杵の醤油・味噌文化を支える重要な存在です。

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地元に根付く酒造文化と蔵元

臼杵の酒造会社は、地元の原材料にこだわった日本酒と焼酎を製造しており、その多くが両方を手掛けるという特徴を持っています。

地域に根付いた酒造文化を育むため、毎年合同で蔵開きイベントを開催するなど活発な活動を行っています。

万延元年(1860年)創業の久家本店は、「ふるさとのエンジン ~地域循環型社会を推進する酒造場~」をスローガンに、地元産の農産物を積極的に使用した酒造りを行っています。

安政2年(1855年)創業の小手川酒造は、手造りにこだわった酒造りを続けており、フンドーキン醤油の前身としても知られています。

明治元年(1868年)創業の赤嶺酒造場は、手作りの焼酎製造を続け、地元の有機生姜や果実を使ったリキュールも製造しています。

明治5年(1872年)創業の藤居酒造は、「和醸良酒」を精神に、清酒製造蔵ならではの黄麹仕込みの米焼酎を製造しています。

これらの酒蔵は、地域ならではの取り組みを通じて、臼杵の食文化の魅力を高めています.

発酵文化が地域経済に与える影響

ユネスコ食文化創造都市としての認定

2021年11月に臼杵市はユネスコ食文化創造都市として認定されました。

これは、味噌、醤油、酒などの発酵・醸造文化が評価されたものです。

この認定は、観光客の誘致や地域ブランド力の向上に繋がり、地域経済に好影響を与えると期待されています。

臼杵市は食文化創造都市として、多様な食文化を活かした産業振興を目指し、農林漁業者や食品加工、飲食、観光、教育研究機関などと連携した取り組みを推進しています。

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UNESCO食文化都市

地域ブランドの向上と観光誘致

臼杵市の発酵文化は地域経済に大きな影響を与えています。

醤油、味噌、酒などの発酵産業は臼杵市の主要産業であり、ユネスコ食文化創造都市としての認定は、地域ブランド力の向上に寄与しています。

歴史的な城下町の保全も観光客の誘致に貢献しており、発酵食品や地元農産物の認知度向上、観光客の滞在時間延長などを通じて地域経済の活性化が図られています。

体験型観光の推進も消費拡大を促す要素として重要です。

大分銀行との連携と経済活性化

大分銀行と臼杵市は連携協定を結び、食関連産業の振興を通じて地域経済の活性化を目指しています。

この連携では、地域での商品流通や資金循環を促進し、臼杵市の持続可能性を高めることを目的としています。

臼杵市では、地域経済分析システム(RESAS)を活用して、地域の産業構造や経済動向を分析し、政策立案に役立てています。

「有機の里うすき」:自然と共生する持続可能な農業

土づくりから始まる臼杵市の有機農業

「臼杵市土づくりセンター」と「うすき夢堆肥」

臼杵市は「有機の里うすき」として有機農業を積極的に推進しています。

その中心的な取り組みが「臼杵市土づくりセンター」の運営です。

2010年に開設されたこのセンターでは、「うすき夢堆肥」を製造しています。

この堆肥は、原材料の8割を草木類、2割を豚糞とした完熟堆肥であり、土壌の微生物環境を改善し、土づくりに重要な役割を果たします。

年間1,600~1,800トンが生産され、農家や地域住民に供給されています。

行政機関が運営する土づくりを目的とした堆肥製造施設は全国的にも珍しく、国内外から多くの視察者が訪れています。

化学肥料・農薬不使用の「ほんまもん農産物」認証制度

臼杵市独自の制度として、「ほんまもん農産物」認証制度があります。

これは、市長が認証するもので、「うすき夢堆肥」などの完熟堆肥で土づくりし、栽培期間中に化学肥料や農薬を使用していないことが確認できた農産物を認証するものです。

有機JAS登録認証機関の協力を得て審査が実施されます。

認証された農産物には金色の「ほ」のシールが貼られて販売され、野菜本来の味がする安全な農産物の生産・流通が促進されています。

有機農業を推進する人々の取り組み

臼杵市では、有機農業を推進する地域おこし協力隊を採用し、新規就農者の育成と支援を行っています。

生産農家の高齢化や後継者不足が課題となる中で、様々な年代の人々が臼杵の有機農業の発展に貢献しています。

小学校・幼稚園での収穫体験や一般市民向けのオーナー農園などの体験型プログラムも実施されています。

また、「臼杵市有機農業実施計画」を策定し、「ほんまもん農産物」および有機農産物栽培圃場面積の拡大を目指しています。

有機農業を支える技術と体制

有機栽培の技術開発と普及

有機農業の安定生産に向けて、技術開発と普及が進められています。

地力窒素や堆肥養分を考慮した施肥設計や、有機JAS適合農薬や天敵などの減農薬技術の開発が行われています。

土壌消毒への低リスク農薬の使用も検討されています。

試験研究で開発された技術を分かりやすく解説するマニュアルの作成や、環境負荷の低減に向けた栽培暦の普及も行われています。

指導体制の整備と相談体制の構築

有機農業指導員の育成も重要な対策の一つです。

普及指導員やJA営農指導員等を対象とした専門的な知識と技術の習得が支援されています。

有機農業指導員や有機農業アドバイザーによる相談対応と研修の受入体制も構築されています。

生産基盤の強化と地域特性を活かした取り組み

有機農業実践に必要な機械等の導入支援や、機械の共同利用やリース導入など、効率的な活用体制の構築も進められています。

主要作物のほか、特産品や伝統野菜など付加価値の高い作物での有機農業の展開や、オーガニックビレッジづくりの支援も行われています。

臼杵の食文化体験:発酵と有機の恵みを味わう

伝統の味を訪ねる:醸造元巡り

九州最古の味「可兒(カニ)醤油」

慶長5年(1600年)創業の可兒(カニ)醤油は、九州最古の醤油・味噌醸造元です。

八町大路に店を構え、400年以上変わらぬ場所で伝統の味を守り続けています。

杉桶を使った天然醸造にこだわった醤油や味噌は、深い味わいが特徴です。

味噌作り体験も実施しており、伝統の味を身近に感じることができます。

九州屈指の醸造元「フンドーキン醤油」

文久元年(1861年)創業のフンドーキン醤油は、醤油、味噌、ドレッシングなどの生産量で九州最大を誇ります。

業界で初めて防腐剤無添加の味噌や醤油を開発するなど、革新的な取り組みも積極的に行っています。

グループ会社工場内にある世界最大級の木樽で3年間天然醸造された「世界一木樽醤油」は、まろやかで奥深い味わいが特徴です。

臼杵市内には醤油工場、味噌工場、ドレッシング工場があり、事前の予約で見学が可能です。

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フンドーキン醤油

安心と美味しさ「富士甚醤油」

明治16年(1883年)創業の富士甚醤油は、「安心を、いただきます」をスローガンに、多様な調味料を製造・販売しています。

100年以上続く伝統の技術を守りながらも、常に新しい技術への挑戦を怠らず、醤油の製造工程においては二つの特許を取得しています。

臼杵市の八町大路にはアンテナショップ「富士屋甚兵衛」があり、定番の醤油・味噌だけでなく、それらをアレンジしたユニークな商品も販売されています。

地元の味を堪能する:食事ができる場所と特産品

郷土料理や地元食材を使ったレストラン

小手川商店では、臼杵の郷土料理を味わうことができます。

味噌や醤油を使った料理は、地元ならではの滋味深い味わいです。

酒房KEIKA(大分市府内)では、臼杵ほんまもん農産物や発酵調味料を使った、身体に優しい料理とお酒を堪能できます。

「ほんまもん農産物」が買える場所

「ほんまもん農産物」は、Aコープや地元のスーパー、直売所などで購入することができます。

毎月第一日曜日に臼杵石仏公園で開催される「ひゃくすた(臼杵ファーマーズマーケット)」では、地元の有機農家から直接、新鮮な野菜や加工品を購入することができます。

お土産に最適な発酵食品

可兒(カニ)醤油本店、フンドーキン醤油、富士屋甚兵衛(富士甚醤油アンテナショップ)などの醸造元の直売店では、それぞれのこだわりの醤油や味噌を購入することができます。これらは臼杵ならではのお土産として最適です。

受け継がれる想い:発酵と有機農業への情熱

伝統を守り続ける醸造元のこだわり

手作りの技と歴史が息づく酒蔵

臼杵には、手作りにこだわった酒造りを続ける酒蔵が数多くあります。

小手川酒造は、築150年の土蔵で一貫して手造りにこだわった酒を造り続けています。

杜氏の丁寧な手仕事により、少量ながらも高品質な焼酎が生み出されています。

久家本店も、地元産の農産物を積極的に使用し、地域循環にこだわった酒造りに取り組んでいます。

これらの酒蔵では見学や試飲を楽しむことができる場所もあります。

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地域との連携を大切にする企業

久家本店は「ふるさとのエンジン ~地域循環型社会を推進する酒造場~」をスローガンに掲げ、地元産の農産物を積極的に使用するなど、地域との連携を重視しています。

フンドーキン醤油も、CO-OP商品第一号の醤油と味噌を製造して以来、生協との関わりも深く、多くの人に親しまれる商品を開発しています。

自然と向き合う有機農家の挑戦

土壌へのこだわりと持続可能な有機農業

有機農業者は、土壌の微生物環境を重視し、植物由来の堆肥を多く使用することで、土本来の力を引き出す農業を実践しています。

臼杵市では、“うすき夢堆肥”を使用し、土中の微生物を増やし作物が健康に育つように土づくりを行っています。

「うすき夢堆肥」を活用し、化学肥料を一切使わずに作物を栽培しています。

後継者育成と未来への展望

臼杵市の有機農業は、生産農家の高齢化や後継者不足という課題に直面しています。

そのため、有機農業を推進する地域おこし協力隊を採用し、新規就農を支援しています。

経験豊富な有機農家が新規就農者を丁寧に指導する体制も整っており、地域全体で有機農業を盛り上げようという熱意が感じられます。

臼杵の食文化革命:伝統と革新が織りなす未来

質素倹約の精神から生まれた郷土料理

知恵が育んだ「黄飯」と「きらすまめし」

臼杵市には古くから伝わる郷土料理が多く残されています。

江戸時代の「天保の大飢饉」の際、臼杵藩は独自の倹約令を発令。

厳しい時代にあっても、臼杵の人々は知恵を絞って様々な郷土料理を生み出しました。

その一つが「黄飯」です。

くちなしの実で黄色に染めた水で炊いたご飯を、「かやく」と呼ばれる白身魚や野菜、豆腐などを煮込んだけんちん汁のようなものと一緒に食べます。

これは、質素倹約な生活の中で贅沢な赤飯の代わりとなる祝いの飯として考案されました。

また、「きらすまめし」は残り物の刺身や魚の中落ちに、豆腐製造過程で出るおからをまぶしてかさ増しした倹約料理です。

これらの料理は現在も家庭や飲食店で親しまれており、臼杵の食文化の重要な要素となっています。

循環型社会の実現に向けた取り組み

「臼杵スタイル」の地域循環

臼杵市は地域住民や事業者と協力して、水源や有機農業、海洋環境保全を推進し、循環型社会の形成を図っています。

森林から田畑を経て海洋に至る一貫した取り組みは、水資源の好循環をもたらし、良質な水や地元産食材を原材料とする発酵食品産業の成長を支えています。

地産地消とSDGsへの貢献

地元産の食材は、地元飲食店や各家庭、学校給食で使用され、地産地消を通じて食文化の持続可能性を高めています。

これらの取り組みは観光コンテンツとしても機能し、国内外から人々を誘致する役割も果たしています。

臼杵市のこうした「食文化創造都市」としての取り組みは、SDGsの目標とも合致し、持続可能な都市づくりにつながっています。

まとめ

臼杵市は、400年以上にわたる発酵・醸造の歴史と、自然との共生を目指す有機農業が深く根付いた、魅力的な食の宝庫です。

江戸時代に始まった醤油や味噌造りは、九州最古の蔵元であるカニ醤油をはじめ、フンドーキン醤油、富士甚醤油といった老舗企業によって今も脈々と受け継がれています。

また、良質な水と米に恵まれた土地柄は、久家本店や小手川酒造など、個性豊かな酒蔵を育んできました。

近年では、「有機の里うすき」として、土づくりからこだわった安全・安心な農産物の生産を推進しており、「うすき夢堆肥」や「ほんまもん農産物」認証制度はその象徴です。

これらの発酵文化と有機農業は互いに連携し、地元の食材を活かした食品作りや食育、地域経済の活性化に貢献しています。

臼杵市は、ユネスコ食文化創造都市としても認定され、その食文化は世界的に注目を集めています。

伝統を守りながらも革新を続ける臼杵の食文化は、これからも多くの人々の心と体を豊かにしていくことでしょう。

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UNESCO食文化都市

よくある質問

Q1: 臼杵市で有機農業が盛んな理由は何ですか?

ぷりもこ
A1: 臼杵市は「有機の里うすき」として、安全・安心な食料を消費者に届けたいという強い思いのもと、土づくりからこだわった有機農業を積極的に推進しています。その中心となる「臼杵市土づくりセンター」での良質な堆肥製造や、化学肥料・農薬不使用を認証する「ほんまもん農産物」制度などが、有機農業を支える基盤となっています。また、地域おこし協力隊の活用による新規就農支援も、有機農業の発展に貢献しています。

Q2: 臼杵市の発酵食品はどこで購入できますか?

ぷりもこ
A2: 臼杵市の醤油、味噌、酒などの発酵食品は、各醸造元の直売店(可兒醤油本店、フンドーキン醤油、富士屋甚兵衛、久家本店、小手川酒造など)で購入できます。また、Aコープや地元のスーパー、お土産店などでも取り扱っています。特に、中央通商店街(八町王路)や町八町にあるアンテナショップでは、多様な臼杵の発酵食品を見つけることができます。

Q3: 臼杵市の食文化を体験できるプログラムはありますか?

ぷりもこ
A3: はい、臼杵市では様々な食文化体験プログラムが用意されています。フンドーキン醤油、久家本店、小手川酒造などの醸造元では工場見学や試飲を楽しむことができます。可兒醤油では味噌作り体験も実施しています。
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